◆ア行
アイオライト(iolite):菫青石
【鉱物Data】
成分:Mg2Al3(AlSi5O18)
硬度:7.0〜7.5
色:バイオレットブルー、ブルーグレー
特徴:
ギリシャ語の「ion(すみれ色)」に由来する宝石名アイオライトの方が一般的ですが、フランスの鉱物学者コルディエにちなんだ「コルディエライト(cordierite)」が正式な鉱物名です。
日本では、すみれ(菫)のような青い色という意味から、ストレートに「菫青石(きんせいせき)」の名前が付けられています。
サファイアのようなブルーの色合いを持つアイオライトは「ウォーターサファイア」とも呼ばれ、アメリカではサファイアの代用品となる廉価な宝石として人気です。
鉱物的には角度によって色が変わって見える多色性が最大の特徴と言え、カボションを上から眺めると紫がかった濃いブルーなのに、斜めからはインクルージョンのためにキラキラと全体がメタリック調に、真横から見ると上半分が無色透明に見えたりします。
アイオライトの産地として知られる北欧のバイキングたちは、航海の際、その偏光特性を利用して太陽の方向を探したと伝えられているほどです。
また、アイオライトサンストーンと呼ばれるアイオライトの変種もあります。
「レッドショットアイオライト」「ブラッドショットアイオライト」などの別名を持ち、サンストーンと同じアヴェンチュリン効果が見られることに由来して名付けられました。
結晶内部でキラキラと輝く、微細な薄片状のヘマタイトやレピドクロサイトのインクルージョン(内包物)が含まれています。
【パワーストーンのおとぎ話】
精神性を表す深いブルーの光は、心を静めて内なる自分を見つめ直すための助けとなってくれる力を象徴しています。
また、見る角度によって異なった表情を持つアイオライトは、物事を多面的に見ることのできる聡明さをもたらし、自分の内側にある新たな一面に気づかせてくれる石だと言えます。
内側から多彩な表情を見せてくれるアイオライトサンストーンは特に、異なる二つの資質、二者間の関係など、二つに分かれた物事を解決するために、さまざまな決断を強く後押ししてくれるでしょう。
アイオライトは、進むべき方向を指し示してくれる人生の羅針盤とも言える石です。
主なキーワード:多角的な視点、二面性、精神性、指標、決断
アイスクォーツ(Icequartz):氷水晶
【鉱物Data】
成分:SiO2
硬度:7.0
色:ピンク、ワインレッド、無色透明
特徴:
アイスクォーツは水晶のバリエーションの一つです。
インド北部・クル地区のマニカラン村(Himachal Pradesh, Kulu, Manikaran)が唯一の産地と言われています。
1995年頃、ヒマラヤの氷河が溶けた場所から見つかったとされ、最近では2006年頃に多く流通しました。
酸化鉄によるピンクからワインレッドに染まった色合い(中には無色透明も)と、ファセット(結晶面)に見られるトライゴーニック(鎖のように連なった逆三角形の模様)が特徴と言えます。
また、底面とも呼ばれる「C面(0001面)のある水晶」は珍しく、溶けてデコボコとした表面の形状はエッチングクォ−ツ(ヒマラヤ蝕像水晶)と名付けられた所以です。
それらの特徴に由来して、穴あき水晶、ヒマラヤントライゴーニック、ヒマラヤングレイシャー(氷河)など、さまざまな名前が付けられました。
【パワーストーンのおとぎ話】
アイスクォーツは恒常的に採掘されるものではないことから、必要とされる時を選んで世に送り出されると言う人もいます。
『クリスタルジャーニー(和尚エンタープライズジャパン刊)』の著者ジェーン・アン・ダウは、トライゴーニックは「赤い色を好む」と記していました。
アイスクォーツの大半に見られるトライゴーニックの印と赤みがかった色合いは、そのスピリチュアルな特性を最大限に表していると言えます。
逆三角形の頂点は赤い大地に突き刺さる楔(くさび)、連なる鎖(の模様)は宇宙へと続く光の道筋です。
スピリチュアルな視点から見れば、アイスクォーツのエネルギーは現実の人生から魂の旅に至る自己実現の過程をサポートしてくれるでしょう。
その道程は、赤土のような色合いのに出会った時はより現実に、明るいピンク色に彩られている結晶はより高次の世界に近づいているのかもしれません。
主なキーワード:超意識、宇宙への扉、魂の自己実現
アクアマリン(Aquamarine):緑柱石(ベリル)
【鉱物Data】
成分:Be3Al2Si6O18
硬度:7.5〜8.0
色:ブルーグリーン、ペールブルー
特徴:
アクアマリンはグリーンのエメラルド、ピンク色のモルガナイトとともに、ベリル(緑柱石)ファミリーに分類される鉱物です。
主成分のベリリウム元素は工業製品の材料としても使われ、地中海を思わせる透き通った淡いブルー(ブルーグリーン)の発色は、少量の鉄分が要因です。
パキスタンの主要な鉱山はブラジル・ミナスジェライス州と並ぶ産地として知られています。
【パワーストーンのおとぎ話】
「開放」と「鎮静」。海の水のように透き通ったペールブルーのアクアマリンから伝わってくるバイブレーションのテーマです。
その色合いはコミュニケーションを表します。感情レベルで停滞していたエネルギーを、より創造的に、より直感的に表現することができるように手伝ってくれます。
ジェーン・アン・ダウはクリスタルジャーニーの中で、目覚めのトラウマを癒してくれる石だと述べています。
肉体を持って生まれて来た瞬間、透明な光そのものだった魂も、過去生のカルマ(業)、あるいは出産時の環境その他によって、色彩が与えられるものです。
彼女はそれを傷、つまり「目覚めのトラウマ」と表現しているのかもしれませんが、それを和らげるのが、穏やかで慰めるようなアクアマリンのバイブレーションだと言います。
生まれ出た世界、現世が安全な場所であり、安心してその能力を存分に発揮することができるように癒してくれる愛の石、それがアクアマリンです。
主なキーワード:魂の開放、トラウマの癒し、コミュニケーション
アゲート(Agate):めのう
【鉱物Data】
成分:SiO2
硬度:6.5〜7.0
色:ブルーグレー、ブラウン、レッド、イエロー
特徴:
水晶と同じ石英グループに属する鉱物です。微細な結晶が集まってカルセドニー(玉髄)となり、それらの結晶が層になって同心円状の縞模様が現れたものをアゲート(めのう)と呼びます。
めのうの縞模様は、微細な結晶が長い年月をかけて堆積して層となる過程で、結晶のすき間に異なる成分が不純物として入り込んだり、別の層を形作ることで生まれます。
世界各地で採れるめのうは、鉄分による赤、クローライト(緑泥石)やニッケルによる緑など、その産地によってさまざまな色に染まっていますが、さわやかな青と白(ライトグレー)に彩られたブルーレースアゲートの人気が高く、最もポピュラーです。
また、晶洞(ジオード)と呼ばれる内部の空洞に水を包有したものが見つかることも多く、色とりどりの縞模様とともにアゲートの大きな特徴となっています。
日本国内では古くから山梨県が産地として知られ、特に甲府の街はめのう細工を特産物としてきました。
【パワーストーンのおとぎ話】
西洋では成功と繁栄をもたらすとされ、ビジネスで成功するためにはめのうで作ったペーパーナイフを使うと良いとの言い伝えがあります。
インドやネパール、チベットなどにおいても、めのうは古代から「守護と幸運の石」として魔よけやお守りに用いられてきました。
また、水入りのめのうは妊娠中の女性と胎児のためのお守りと考えられていたそうです。層となって成長していくアゲートの構造がそれを象徴的に現しているのかもしれません。
中心の空洞が子宮を思わせ、胎児を幾重にも包み込んで守る母体のように見えます。
微細な結晶が層となって一つの個体を形作るめのうの構造は、エネルギーボディ、あるいはオーラと呼ばれるシステムの階層を表しています。
それは規則正しく結び付いた水晶の本質とも言える「安定」「調和」を、より強固なものとするエネルギーを示すものであり、オーラ全体を強化するために役立ちます。
母胎を象徴するそのエネルギーは、大切なものを守り、育んで行くためのサポートとなってくれるでしょう。
主なキーワード:マトリクス、保護、安定と調和
アズライト(Azurite):藍銅鉱
【鉱物Data】
成分:Cu3(CO3)2(OH)2
硬度:3.5〜4.0
色:ブルー、コバルトブルー
特徴:
宝石質の輝きを見せてくれるノジュール(団塊状)、粉っぽいチョーク質の小さなボール状、細かい針や刃で構成された花のような形など、さまざまな結晶が見られます。
銅の鉱石が酸化することによって生まれるアズライトは、同じ銅鉱床の二次鉱物であるマラカイトとともに見つかることもしばしばです。
成長の途上でアズライトがマラカイトに変わってしまうこともあるようで、「アズライト・マラカイト」または「アズマラカイト」と名付けられた結晶は、共生ではなく、一体の存在と言えます。
【パワーストーンのおとぎ話】
キラキラとしたガラス光沢に輝くアズライトの色は、青い宇宙のようでもあり、星明かりに照らされた夜の海のようでもあります。
その落ち着いたコバルトブルーは、日常の喧噪から切り離してくれる孤高の色であり、瞬く星のきらめきを思わせる輝きは、第三の眼を開きインスピレーションをもたらす知性の光です。
また、パステル調の色合いを見せるパウダーブルーのアズライトは、繊細なレベルに意識をつなぐコミュニケーションの流れを促します。
ヒーリングストーンとしては、固定観念のように思考を制約しているパターンを打ち破り、精神から物質レベルに至るエネルギーの流れを解き放つ性質を持つとされています。
主なキーワード:記憶の解放、インスピレーション、コミュニケーションの流れ、意識の拡大
アパタイト(Apatite):燐灰石
【鉱物Data】
成分:Ca5(PO4)3(F,Cl,OH)
硬度:5.0
色:グレイ、イエロー、グリーン、ブルー
特徴:
人間の骨や歯と主成分を同じくする結晶質のリン酸塩鉱物です。鉱物としては比較的軟らかく、半透明な結晶表面の奥に無数のひび割れが隠れているように見えます。
多種多様な色や形を持っていることから、ベリルやカルサイトなど、その他の鉱物と間違われることが多く、1786年までは「アパタイト」という一つの鉱物として名前が認められていませんでした。
それが理由なのかは分かりませんが、名前は「だます」という意味のギリシア語「apatas」に由来しています。
透き通った結晶は決して多くはありませんが、宝石質のアパタイトはルース(裸石)にカットされ、ジュエリーになります。
代表的なブルーとグリーンをはじめ、イエロー、バイオレット、ピンクなど、その色合いは多彩です。
ブラジル、メキシコ、ロシア、アフリカなど産地も多く、産状も変化に富んでいます。
【パワーストーンのおとぎ話】
アパタイトはさまざまなな産状で見つかるために変種が多く、多様な色と形を持った鉱物です。
それは、ヒーリングにおける多様性や柔軟性といった特性を象徴しています。
また、主成分が人間の骨や歯と同じことから、「骨格」「構造」というキーワードに関連するエネルギーと考えることができます。
多様性は変化に対応する柔軟な姿勢を促し、すべての基礎を形作る骨は新たな枠組みを作り直すための助けとなることを示しています。
主なキーワード:多様性、骨と歯、構造
■ブルーアパタイト(ダークブルー、ブルーグリーン)
インスピレーションと鎮静をもたらすブルーの色合いに染まったアパタイトは、鉱物特性に見られる多様性に表される「変化」を受け入れるための心の準備と、新たな方向性を見出すためのガイダンスを受け取ることを手伝ってくれます。
ブルーアパタイトが人生に現れる時、物事は新たな局面を迎えようとしているのかもしれません。
主なキーワード:再編成、局面の変化
■イエローアパタイト(イエロー、イエローグリーン)
人間の骨や歯と主成分を同じくするアパタイトは、骨格に象徴されるように「組織化」「統合」に関わるエネルギーと言えます。
また、ややグリーンがかったイエローの光は、身体の中心にある統合センター(太陽神経叢)に働きかけ、そこでうっ積していた感情や創造的なエネルギーをグリーンの色が示すハートへと、スムーズに流れるように手伝ってくれます。
アパタイトのイエローは、シトリンともトパーズとも異なるよりエモーショナルな響きを持ったバイブレーションです。
イエローからグリーンの色合いに染まったアパタイトに惹かれた時は、目に見える問題よりも、その奥に潜むエモーショナルな要因に注目するべきなのかもしれません。
そして、ハートから現実を受け容れることができるように、準備を整えておく必要があります。
主なキーワード:消化吸収、太陽神経叢、統合
■グリーンアパタイト
滑らかな表面の下から見える無数のクラック(ひび割れ)は、繊細な心を表すと同時に、簡単に形を変える流動性、柔軟性を象徴しています。
ハートグリーンに彩られたアパタイトは、そんな繊細な感情や精神の強化、成長を促し、意識を柔軟に変えていくために役立ってくれるでしょう。
主なキーワード:繊細な感情と精神の強化、流動性、柔軟性
アポフィライト(Apophyllite):魚眼石
【鉱物Data】
成分:KCa4Si8O20(F,OH)・8H2O
硬度:4.5〜5.0
色:無色透明、グリーン
特徴:
日本名は魚眼石。19世紀初めくらいから知られています。
真珠層(真珠貝の裏側)のように美しい輝きは、ダイヤモンド光沢とも言われるほどのまばゆさです。
クォーツ(水晶)を始め、カルサイト(方解石)、プレナイト、スティルバイト(束沸石)に代表されるゼオライトグループ(沸石)をともなう結晶が目立ちます。
軽くて軟らかい上に劈開性を持つことから、取り扱いには注意が必要です。
2つのピラミッドを底面で張り合わせた柱を作る正方晶系の形が、主な特徴と言えます。
無色透明の結晶は珍しくありませんが、緑色に染まったグリーンアポフィライトは希少です。 以前はインド・プーナが代表的な産地でしたが、グリーンのアポフィライトについては枯渇したと聞きました。
【パワーストーンのおとぎ話】
インドでは、霊力を授けてくれる石、肉体を超えて魂のレベルで癒しを与えてくれる石として、珍重されてきたそうです。
クリスタルヒーリングでは第3の眼と呼ばれる眉間のチャクラに置かれることからも分かるように、より繊細な領域にアクセスするためのキーとなります。
それは内なる知恵、忘れていた遠い記憶、魂に刻まれたパターンを思い出されてくれるバイブレーションです。
思考の型をかたくなに抱え込んで自分本来のあるがままの姿を開放できずにいる人は、アポフィライトのまばゆい光がうっとうしく感じるかもしれません。
そんな時はむしろ、アポフィライトの波長に共鳴していることに気づき、じっくりと向き合ってみるべきでしょう。
主なキーワード:霊力を授ける石、直観力、洞察力
■グリーンアポフィライト
アポフィライトのやわらかな光は、時間と空間を超えて魂の中に染み渡る超越の響きです。
それはどこまでも透き通った癒しの光と言えます。
凛々しいグリーンの色合いから伝わってくるのは、崇高さ、高潔さです。
精神性の高い波長は、スピリットの世界に意識をアチューンメント(同調)させてくれるでしょう。
また、穏やかに調和をもたらしてくれるグリーンのエネルギーは、透明なアポフィライトの光に居心地の悪さを感じる時にはより効果的なレメディとなってくれるはずです。
主なキーワード:崇高さ、高潔さ、神聖、精神性
アメジスト(Amethyst):紫水晶
【鉱物Data】
成分:SiO2
硬度:7.0
色:バイオレット、パープル
特徴:
アメジストは石英(水晶)グループに分類される紫水晶です。結晶に含まれる鉄イオンによって紫色に彩られています。
最大の産地はブラジル、他にも、アフリカ、ヨーロッパ、中国、パキスタン、アフガニスタンなど、世界各地で産出する身近な宝石の一つとして広く知られています。
それぞれの産地によってユニークな特徴が見られ、メキシコ・ベラクルス産の結晶は世界一美しいと言われるほどみずみずしい輝きを持ち、アフリカにはサボテンのトゲのように小さな結晶が無数に表面を覆ったアメジストカクタス(あるいはカクタスアメジスト)と呼ばれるタイプが、そして南米のウルグアイでは良質のクラスター(群晶)が採れます。
さらに、パキスタンのアメジストはクリアクォーツと同様に艶やかな照りと生命力にあふれた個性の強さが際立っています。
蛇足ながら、パキスタンのクリアクォーツにはしばしば天然コーティングの結晶が見られますが、同様のアメジストも一度だけ入荷したことがありました。
アフガニスタンのアメジストについては、濃いパープルと淡いラベンダーのグラデーションとも言えるやさしい色合いの結晶が目立ちます。
【パワーストーンのおとぎ話】
アメジストの名前は、酒の神にまつわるギリシャ神話に由来する「amethoustos」という単語にちなんで付けられました。
「酔っていない(人)」という意味のギリシャ語が語源になっていますから、お酒はもちろん、権力や性癖(コントロールできない心と行動の克服)などにも「酔わない、なびかない」との解釈から、お酒に関するお守りの石とされていたこともあるようです。
また、中世に記された「konrad von Megenberg」(15世紀の古写本)では、「悪い考えを分散させて良識をもたらし、穏やかでやさしく、より良い人格を作る鉱物」と定義されていたそうです。
平安時代には位の高い人が身に着ける色とされていたほど、昔から日本では高貴な色と考えられてきた紫色です。
誠実さと高潔さを引き出し、高い地位にある人たちに求められる判断力と正義感を心に染み込ませる紫色のバイブレーションを、繊細な日本人の感性が知らず知らずのうちに感じ取っていたのかもしれません。
同じような意味でスピリチュアルな面から言えば、アメジストは瞑想の石であり、深い平穏をもたらして自分自身の中に存在する賢明さに気づかせてくれます。
そして、位階の高さを示す紫は直観を刺激し、意識レベルも高次元へと向かわせてくれます。
アメジストは自分を信頼することができるように導いてくれます。それは他人にすがったり、何かに依存することのない強さ、高潔さであり、周囲の人々を引っ張っていく指導者の強さです。
クリスタルヒーリングにおいては、エネルギーレベルでの浄化力の強さが大きな特徴として挙げられます。
特に、深遠なパープルに色濃く染まった結晶からはそうした傾向を強く感じます。
主なキーワード:直観力、浄化能力、瞑想、第6チャクラ
エピドート(Epidote):緑簾石(りょくれんせき)
【鉱物Data】
成分:Ca2(Al,Fe3+)SiO3O12(OH)
硬度:6.0〜7.0
色:ブラウン、ダークグリーン、ピスタチオグリーン
特徴:
エピドートの鉱物グループには紅簾石(Piemontite:ピエモンテ石)、褐簾石(Allanite)、灰簾石(Clinozoisite)が属し、宝石のタンザナイトで知られるゆう簾石(Zoisite:ゾイサイト)もその仲間です。
また、エピドートはユナカイト(緑簾石とともに、長石、石英,緑泥石他、複数の鉱物が混ざった岩石)の模様を彩る結晶の一つでもあります。
表面に刻まれる条線やグリーンの色調など、見た目はトルマリンとよく似ていますが、色のバリエーションがそこまで豊富にないところが大きな違いです。
ブラウンからダークグリーン、黄色がかった明るいピスタチオグリーンへと、見る角度によって変化する多色性が魅力と言えます。
一方で、その濃く深い色合いはジュエリー向きとは言い難く、宝石としての需要はほとんどありません。
また、鉱物標本としては日本よりもヨーロッパの市場で高い人気を得ています。
世界各地で産出されるエピドートですが、パキスタンとアフガニスタンで採れる結晶は数センチほどの小さなものが多いようです。
【パワーストーンのおとぎ話】
トルマリンと同じようにはっきりとした条線が走る表面はより硬質な輝きを持ち、それは核となる構造を安定させ、確かなものとする「強さ」を表していると言えます。
エピドートの重厚な光は前に進んでいくための布石を作り出し、目的を達成するための実際的な方法を示してくれているのでしょう。
「成長」「発展」のために役立つことは、グリーンの色合いが示しています。
現実創造がうまくいっていないと感じる時、思わず弱音を吐きたくなってしまうほど意気消沈している時、エピドートはあなたの前に現れるかもしれません。
主なキーワード:実用的なエネルギー、強化、目的の達成、感情の安定
エメラルド(Emerald):緑柱石(ベリル)
【鉱物Data】
成分:Be3Al2Si6O18
硬度:7.5〜8.0
色:グリーン
特徴:
緑色の石としては比類なき美しさを誇るエメラルドは、今も昔も、ダイヤモンド、ルビー、サファイアと肩を並べるポピュラーな宝石です。
正しくはベリル(緑柱石)という鉱物で、同じファミリーに属するアクアマリンは淡いブルーグリーン、モルガナイトがピンク、ゴールデンベリルやレッドベリルなど、色によって異なる名前で呼ばれるベリルには多彩な色合いが見られます。
最大の産地はコロンビアになります。ブラジル、ロシア、南アフリカ、そしてパキスタンでも採れますが、宝石として加工できるものはきわめて少なく、そのために稀少価値がついて結果的に高価な金額で流通しています。
【パワーストーンのおとぎ話】
主なキーワード:神聖な愛、生命力、呼吸、共通理解、霊的変容
宝石質の深いグリーンの輝きは目を背けることができないほど美しく、あのクレオパトラも魅了されていたそうです。エメラルドは、内なる感覚を刺激し、サイキックな力に波長を合わせて直観で物事を見るように促してくれると言われています。
ベリルファミリーの仲間であるアクアマリンと同じように魂のハートが抱えているトラウマを明らかにして癒す働きを持っているそうですが、より力強くやさしいバイブレーションを感じます。
また、自然界の植物が身にまとうエメラルドグリーンは、生命力を象徴しています。メンタルな面からもフィジカルな面からも、呼吸をするように自然な調和をもたらしてくれます。
エレスチャルクォーツ(Elestial Quartz)
【鉱物Data】
成分:SiO2
硬度:7.0
色:無色透明、スモーキーブラウン、アメジストパープル、ピンク
特徴:
エレスチャルは通称スケルタルクォーツ(がい骨水晶)とも呼ばれる水晶です。
がい骨と呼ばれるのは、層状、あるいは小さな結晶が無数に結び付いて形作られたように見える階段状の形が、むき出しの骨格を思わせるからです。
世界中で産出する水晶ですから、エレスチャルというタイプに限っても数多くの産地があります。
また、それぞれに特徴があり、ブラジルのエレスチャルは黒っぽいブラウンの色合いを見せるスモーキークォーツ(煙水晶)で階段状の形を持ったもの、インド産は赤からオレンジに見えるゲーサイト(針鉄鉱)やレピドクロサイト(鱗鉄鉱)を含むアメジスト(紫水晶)で層状の結晶が多く、いずれも内部にはインクルージョン(内包物)が目立ち不透明です。
メキシコ産のエレスチャルは無色透明とも言えますが、うっすらと飴色に彩られた層状の形が際立ち、南アフリカ産はインドのものと雰囲気が似ているものの、階段状の形の結晶が多く見かけられます。
さらに、それほど多くはありませんが、ローズクォーツ(紅水晶)のエレスチャルもあります。
【パワーストーンのおとぎ話】
エレスチャルは、著名なクリスタルヒーラーのカトリーナ・ラファエル氏によって名付けられました。
英語に「Elestial(エレスチャル)」という単語はありませんから、おそらく「天上の、神々しい」といった意味を持つ「Celestial(セレスチャル)」に由来する造語だと思われます。
ゴツゴツした表面とおどろおどろしいがい骨を連想させる形からは想像できませんが、天使的なバイブレーションに調和する「天使からの贈り物」とカトリーナさんが言うように、鮮烈な輝きを持つそのハイオクターブな光は、まさに天上の領域から届く光と言っても過言ではないでしょう。
非常にパワフルなエネルギーを持ったクリスタルとして知られていますが、一般的な美的感覚、宝石的な美しさとは無縁の姿は、好みが分かれるところです。
しかし、その個性的なバイブレーションに惹かれる人にとっては、直接ハートに訴えかけて来る強烈な響きです。
エレスチャルの結晶一つひとつが持つ固有のバイブレーションは、その人に必要な“変容”をもたらします。
だれもが異なる美的感覚を持つように、エレスチャルのバイブレーションは個別に働きかけてくるものです。
主なキーワード:変容、ハイオクターブ、天上の領域、深層レベル
■アメジストエレスチャル
無色透明、あるいは飴色のエレスチャルがはるか高みへと一気に意識を運び去る異世界の乗り物だとすれば、アメジストエレスチャルはもう少し現実的なスペースシャトルのようなものかもしれません。
シックなトーンとその特異な形状から伝わって来るバイブレーションは、時には近寄りがたく、重苦しい印象を受けます。
しかし、アメジストが身にまとう紫は目に見えない世界と現実の世界を結び付ける「統合」「調和」のエネルギーを持っています。
大きな変容に向かって少しずつ穏やかに導き、その決して楽ではない旅の行程をサポートしてくれる道連れとなってくれるような存在、それがアメジストエレスチャルです。
オパール(Opal):蛋白石
【鉱物Data】
成分:SiO2・nH2O
硬度:5.5〜6.5or6.0
色:グレイッシュホワイト、クリームホワイト
特徴:
「宝石」という意味のサンスクリット語「upala」が語源とするオパールは、日本では固まった卵の白身のような色にちなんで「蛋白石」と名付けられました。
お世辞にもロマンティックとは言えませんが、オパールの色合いと質感をうまく言い表しています。
最大の特徴は乳白色の中から虹の七色が浮かび上がる遊色効果です。
成分に3〜20%の水を含むオパールは非常に不安定な鉱物で、その含有率によって比重や屈折率が変化し、乾燥するとひび割れを起こしたり、輝きがなくなったりすることもあります。
二大産地と言われるオーストラリア(約75%)とメキシコ(約20%)がその大半を占めるものの、世界各地の多種多様な環境下で多彩な色と形が見られ、それぞれが固有の名前を付けられています。
中でも、別名メキシコオパールとも呼ばれるファイアーオパールは、ひときわ目立つ個性的なバリエーションです。
濃い赤をベースに卵の白身が固まりかけたような半透明な部分に七色の遊色効果が現れるものと、透明度の高い赤からオレンジ色に染まり遊色効果を示さないものがあります。
地の色が白いものはホワイトオパールと呼ばれ、オーストラリア産が有名です。
半透明な乳白色の中にオパレッセンス(虹色にきらめく遊色効果)を示します。
それらオーストラリアのホワイトオパールとメキシコのファイヤーオパールはジュエリーとして高い知名度を誇っていますが、不透明ながらも美しい色合いを持ったオパールもあります。
南米のペルー・アンデス山脈の奥深くで採れるピンクオパールは、マンガンの成分によってサンゴのような色合いに彩られています。
市場に流通しているピンクオパールの原石には白いペリゴルスキー石が混在しているものがしばしば見かけられます。
インクルージョン(内包物)による光の散乱が引き起こすオパレッセンス(特殊効果)や虹色の遊色効果が見られないオパールのことをコモンオパールと言いますが、それらはイエローオパールやブルーオパールといった通称で呼ばれることが多いようです。 ブルーオパールは別名アンデスオパールとも呼ばれ、南米ペルー・アンデス山中の鉱山において、非常に小規模な形で採掘されています。
アンデス山脈には銅鉱脈が数多く存在し、黄銅鉱(チャルコパイライト)、赤銅鉱(キュープライト)、珪孔雀石(クリソコラ)などとともに見つかります。
不透明ながらも美しいブルーはターコイズとよく似た色合いで、その着色要因も同じく銅の成分によるものです。
【パワーストーンのおとぎ話】
ミルキーホワイトのやさしい光の奥から現れる、レッド、グリーン、ブルー……etc、多彩な色の輝きは、神秘的な響きを備えています。
水分を多く含むせいでしょうか、どことなく有機的で、生き物や細胞を思わせるグロテスクなほどの生々しさ、妖しさが感じられます。
それは、生命力という言葉に置き換えても良いかもしれません。
水は感情を象徴しています。
オパールは、湿った空気を吸い込むようにあなたの感情を受け止め、そのエネルギーを高い精神へと昇華させてくれるはずです。
ただし、抑圧された怒りや不安を抱えて感情的に不安定な場合は、それらのネガティブなエネルギーをオパールが増幅させてしまう可能性があるため、慎重に付き合うことが必要です。
主なキーワード:感情、流れ、男性性と女性性の統合、生命力
■ファイヤーオパール(ディープレッド、オレンジ)
ファイアーオパールは、不安定な情緒による消耗、自分を見失ってしまった状態からの回復を促してくれる石だと言われています。
激しく燃え上がる炎は二度と同じ形には戻りませんが、意欲をわき上がらせてくれます。
常に動き続け、変化し続ける炎は、冷え固まり滞ったエネルギーを動かし、活力をよみがえらせてくれる原動力です。
思い描いていた道ではないかもしれませんが、確実に目指すゴールへと向かわせてくれる、前向きさで力強いバイブレーションを持っています。
主なキーワード:回復、意欲、後押し、原動力
■ホワイトオパール(ミルキーホワイト)
オパールに関しては、世界中でさまざまな伝説が語り継がれてきました。
ギリシャ神話においては、天と地の王として君臨するためにクロノスを始めとする巨人族(古の神々)を倒したゼウスが流した喜びの涙がオパールに変わったと言われ、インドでは悪しき神々から逃げたために石に変えられた虹の女神の姿だと伝えられているそうです。
そうした伝説が物語るようにオパールが示す虹色のきらめきからは、見つめた瞬間に意識が異なる世界へと運ばれてしまいそうなほど強い霊性が感じられます。
意識を拡大させる白い光、穏やかさを備えた乳白色の光は、白いもやを追い払うように明るく空を照らし出す虹のように、心を明晰にさせてくれるバイブレーションです。
主なキーワード:霊性、意識の拡大、明晰さ、穏やかな感情
■ブルーオパール(ブルーグリーン)
どのオパールにも言えることですが、内側にジューシーな液体を包み込んでいるのではないかと思えるほどみずみずしい質感は、ジェリービーンズやイクラを思わせます。
いわば、水のエレメントに属することを象徴的に表しています。
さらに水は「感情」を象徴し、すべてのオパールにつながるキーワードです。
ハートに働きかけるグリーン、穏やかさとリラックスのブルーは、時には激しく、時には穏やかに流れ行く深淵で広大な海を彩ります。
あたかも大海に落ちた一滴のしずくによる波紋が何事もなく消え去ってしまうように、ブルーオパールのバイブレーションは気持ちを静め、心に安定をもたらしてくれるでしょう。
主なキーワード:心の安定、穏やかさとリラックス、ハート
■ピンクオパール(ピンク)
ピンクオパールと同じペルーのアンデス山脈で採れるブルーオパールは、クリソコラやターコイズのように美しいブルーグリーンに染まっています。
やさしく穏やかなパステルカラー、ハートに働きかけて感情レベルのストレスを解き放つピンクとグリーン、どちらもよく似た特性を持った色合いを身にまとっていることは決して偶然ではないでしょう。
利他的な行動、分かち合い、連帯感、思いやりを促す寛容なピンクのエネルギーは、うつむいた瞳に輝きを取り戻させてくれます。
主なキーワード:ハート、感情、寛容、共有
■イエローオパール(クリームイエロー)
乳白色とも言える半透明あるいは不透明な色合いのイエローオパールは、その落ち着いたトーンが示すように、特に感情を安定させる穏やかなエネルギーを備えています。
自分自身の力を信じることができなくなってしまうほどの不安や疑心暗鬼にさいなまれているような時、こわばってしまった心と身体をやさしく解きほぐしてくれるやわらかなバイブレーションです。
そのような時は些細な刺激にも神経が過敏に反応してしまうかもしれません。
あまりにも激しく消耗すると、ふだんは心地よく感じられる暖かな太陽の日差しでさえ、強い刺激と思えることがあります。
例えば、ハードなトレーニングで疲れすぎて食欲もわかない、そんな時です。
身体の中心を暖めてくれるシトリンやトパーズのゴールドイエローの光がまぶしすぎると感じたならば、このイエローオパールをみぞおち(太陽神経叢)にあててみてください。
自分の中心に、ゆっくりと確かな力が満ちてくるのが分かるはずです。
主なキーワード:穏やかさ、感情の安定、自信、過敏
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