◆マ行
ムーンストーン(Moonstone):月長石
【鉱物Data】
成分:KAlSi3O8(カリ長石)
硬度:6.0〜6.5
色:ホワイト、アイボリー
ムーンストーンという名前は宝石名です。
月長石と名付けられた日本名からも分かるように、長石の一種になります。
地球上で最も一般的に見かけられる鉱物と言える長石の中のカリ長石(カリウムを多く含んだ正長石)と曹長石(大半がナトリウム成分)、あるいはその中間的な成分を持つものがムーンストーンと呼ばれ、普通は月の光を思わせる特殊効果が表面に見られるものを指します。
ムーンストーンと呼ばれる由縁である光の特殊効果は結晶構造によるもので、レインボームーンストーンとして流通している石の多くは七色に輝くラブラドライト(曹灰長石)になります。
カリウム長石と、ナトリウム長石またはカルシウム長石の層がラミネート状(薄片状)になって重なり合い、その分離した層の境目が光を曲げることによって生じる光です。
最大の産地はインド、次いでスリランカ(現在は産出量が大きく減少)やメキシコ、マダガスカルが有名です。
【パワーストーンのおとぎ話】
ムーンストーンには、奥深い感覚を磨いて鋭い洞察力と直観、ルシッドドリーム(明晰夢)をもたらし、眠っている力を呼び覚ます力があって、サイキック(心霊的)な領域を拡大すると言います。
それは、「(目に見えない)流れ」または「サイクル(周期)」を象徴する月のエネルギーです。
ムーンストーンのバイブレーションは、現実とは別の世界にばかり意識が向かってしまい、足もとが定まらない時、時間の周期や感情に関するバランスを取り戻す必要があるような時に役立ちます。
まぶしすぎる太陽の光は時に目を背けたくなることもあります。
一方で穏やかな月の光は、燃えさかる炎のように性急なパワーはなくとも、ゆっくりと月の満ち欠けが進むように、奥深い繊細な領域へと意識を運んでくれます。
ムーンストーンの表面に浮き上がる青白い月明かりのような閃光は、ささやくように天上へと引き上げてくれるはずです。
主なキーワード:サイクル(周期)、感情の変化、直観、洞察力、サイキックな能力
モルガナイト(Morganite):緑柱石(ベリル)
【鉱物Data】
成分:Be3Al2Si6O18
硬度:7.5〜8.0
色:ペールピンク
特徴:
モルガナイトは、エメラルドやアクアマリンと同じベリル(緑柱石)ファミリーに属する鉱物です。
1911年にマダガスカルで発見され、後にアメリカの銀行家でもあり史上最大の鉱物コレクターとして知られるJ.P.モルガンという人物の名前がつけられました。
そのコレクションは、世界でも指折りのジェムストーン(宝石)が展示されているアメリカ自然史博物館に寄贈されていると言います。
リチウムやマンガンに由来するペールピンクに彩られたモルガナイトは魅力的なクリスタルですが、宝石としての知名度は低く、ジュエリー市場ではあまりニーズが期待できません。
そのため、多くは熱処理によってより人気の高いブルーのアクアマリンに変えられてしまいます。
中にはオレンジ色をおびているものもありますが、長時間に渡って強い日差しにさらされるとピンク色に褪色してしまうほど不安定です。
良質な結晶の産地としては、ブラジル・ミナスジェライスやパキスタンなどがよく知られています。
【パワーストーンのおとぎ話】
モルガナイトが奏でる淡いピンク色の響きは、恋愛や家族愛などの身近な感情だけに作用するものではありません。
そうかといって、クンツァイトのような高尚でハイオクターブな響きと例えるには、情緒的で甘すぎる旋律を含んでいると言えます。
あえて言葉で表現するならば、低音から高音まで音域が広すぎて素人が歌いこなすには無理があるけれど、老若男女、人種や境遇の違いを越えて、生きとし生けるものすべて、だれの心にも届く愛の調べです。
その旋律は、お金や物でしか価値を計ることのできない人や、逆に現実から逃避している人、すべてを犠牲にして何かに狂信的に取り組んでいる人、精神世界に閉じこもっているような人には、人生の中で眠っていた献身的な愛を目覚めさせ、広い視野と必要な気づきを与えてくれるでしょう。
モルガナイトは私たちのハート(感情)に働きかけることで、地球全体どころか宇宙に至るまで、ありとあらゆるものがつながっているということ、ワンネス(全体性)の心を歌っているのかもしれません。
主なキーワード:献身、普遍の愛、ハート、全体性、精神のゆとり
モンブランクォーツ(Monbranquartz)
【鉱物Data】
成分:SiO2
硬度:7.0
色:無色透明、スモーキーブラウン
特徴:
モンブランクォーツとは、ヨーロッパアルプスのモンブランで採れた水晶のことで、鉱物名ではありません。
モンブランは「白い山」を意味するフランス語です。
フランスとイタリアの境にありますが、鉱脈の位置によるものか、販売されている結晶は大抵の場合、フランス・モンブランと記載されています。
標高3,000m級の険しい山岳地帯での採掘に、大がかりな重機を持ち込むことは難しく、鉱物ハンターと呼びたくなるような人たちが手掘りで持ち帰るというのですから、まず大量に流通することはないでしょう。
その希少性ゆえに、市場では高値がつけられることになります。
透明なクリアクォーツの美しさもさることながら、スモーキークォーツ(煙水晶)の透明感、聡明な色合いは他の産地に比べて、1、2を争うほどのクォリティです。
【パワーストーンのおとぎ話】
すべての水晶に共通するキーワードは調和と安定です。
その上で色や形など、それぞれの結晶に固有の個性が存在します。
さらに、個々の水晶が生まれた環境によって育まれるエッセンス(本質)も加わります。
目に見えないそれらの要素は、輝きの強さや素材感といった知覚できる五感に置き換わって伝わってくることもあれば、人によっては直観的に悟るものです。
そのようにしてアルプス・モンブランの水晶のエネルギーを主観的に表現するならば、太陽の光を受けて水滴が浮かんだ氷のように、どのような乾きも潤してくれるほどみずみずしい生命力を含むバイブレーションです。
モンブランの水晶、特にスモーキークォーツに惹かれた時は、頭上に輝く星の光が照らし出す叡智よりも、一杯のわき水を欲しているのかもしれません。
主なキーワード:調和、安定、生命力
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